ラーメン屋の収益
飲食店を起業して失敗する人間は『ラーメン屋は儲かる』というざっくりした情報だけを聞いて、それを信じてしまう。
しかし大抵の人はその中身は知らない。例えば1+1=2という計算があって2という答えだけ教えられてそれで全てを理解した気になっているのだ。自分で計算して答えを出さなければならない。
こういうやつが本当に多い。おそらくどこから聞きかじった知識でそう言っているのだろう。
100円というのは言いすぎだがラーメンは利益率の高い商売だと思っている人間が多くいるだろう。
しかしそれは幻想である。
全部俺の給料にすれば月収100万だ。
年収1200万だ。
すげー金持ちになれる!
と何やら机上の空論とでもいうか皮算用とでもいうか計算してラーメン屋の経営に淡い期待抱くのである。こうやって一見、堅実に、聡明に、空想上の数式で計算してみて『自分の理論は間違ってない。ラーメン屋は儲かる』と錯覚するから始末に負えない。
そうやって論理的だと思いこんで間違えた方程式で計算し、間違いに気が付かずに凶行におよぶ人間が後を絶たない。しかし始末が悪いのはこれで論理的だと思いこむことだ。
『自分の考えは間違っていない。これなら儲かる』そういう錯覚をして結局は失敗するのだ。
私の店の収支を皆さんに教えたいと思う。
そもそも商売をするということを甘く考えている。実際の私の店の収支を皆さんに公開して現実を教えてあげる
私の店舗の収支
一日の売り上げ20~30万円
ガス代-13万
水道代-8万(夏は少し高くなる)
電気料金-5万(冬季)、8万(夏季)
家賃が30万
何だ意外と儲かってるじゃないか。と思う者もいるかもしれない。
これには食材の仕入れ値や従業員の給料は抜かしているからだ。その他にも色々な経費がかかっている。更に私の店は地域平均と比べて家賃が安いのだ。それは20年前から家賃が変わっていないからだ。現在、同じ街で同程度の規模の場所を借りようと思ったら月に40万円以上はかかるだろう。この件に関しては私は運がいいのだ。
それで簡単にいうとラーメン屋経営はかなり厳しいのだ。だから他人や世間にいい加減なことを吹聴されて利益率の良い業態だと勘違いしてしまわないように、ラーメン屋に限らないが自分で商売をするということは他人の言葉など当てにしてはいけないのだ。
実態はよく知らないが、世の中にはラーメン屋を経営しようという人間を指導してこうやって金を貰おうとする輩がいるらしい。よくテレビの特集なんかで脱サラした人間が店を出すのにコンサルタントが介入している。
しかしそういう人間はペテン師だから絶対に頼ってはなりません。そもそも他人に助けて貰おうとするなんて経営者の資格がありません。なんでも人から教えてもらって物事が上手くいくと思わないことです。
皆さんは春秋時代の趙括の話を知っているだろうか。
趙括は幼い頃から勉学に励んで兵法の知識に関しては誰にも負けなかった。将軍として優秀な父親も兵法を論じて言い負かしたほどだった。
しかしその趙括の初陣、趙括は10万の兵を率いて敵と戦ったら。
そうしたらその10万の兵は全て敵に殺されたのだ。
そうなのである。所詮いくら知識があろうと実際には役に立たないことが多い。更にこういう挑戦は明確に答えが存在するわけではない。誰かが答えを合わせをしてくれるわけではない。暗中模索、答えのないことに自分で答えを見出すことなのだ。
だからよくテレビで経営学、経済学なんかを偉そうに語っている人がいるがあんな人間の言うことに感心してはいけません。
そもそもコンサルタントなんてするぐらいなら自分で飲食店経営をすればいいのだ。それができないということは無能なのである。